本書は,著者が大学数学スポットライト・シリーズとして執筆した『シローの定理』,『群の表示』の続編であり,代数学や位相幾何学を専門とする学部3, 4年生や大学院生を対象としている.
本書ではこれまでの2作を踏襲して,群の表示を利用した1, 2次元コホモロジーの計算の解説を試みている.本書のみ読破でも多くの具体例を計算できるようになるため,専門的知識の理解・定着に役立つ内容となっている.
群のコホモロジー論の入門として最適な一冊.
Author(s): 佐藤 隆夫
Series: 大学数学 スポットライト・シリーズ 10
Publisher: 近代科学社
Year: 2022
Language: Japanese
Pages: 200
[大学数学 スポットライト・シリーズ 10]群のコホモロジー, 佐藤隆夫, 2022, 183p, 近代科学社, 4764906503
表紙
目次
1 群上の加群
1.1 G 加群の定義
1.2 G 自由加群
1.3 G 加群のテンソル積
1.4 G 準同型写像のなす加群
1.5 問題
2 群の(コ)ホモロジー
2.1 群の自由分解と(コ)ホモロジー群の定義
2.2 自由分解の存在
2.3 (コ)ホモロジー群の定義の整合性
2.4 特別な自由分解を用いる方法
2.4.1 自由群
2.4.2 巡回群
2.5 問題
3 1次元(コ)ホモロジーの計算
3.1 整係数1 次元ホモロジー群
3.2 1 次元コホモロジー群の計算
3.3 問題
4 群準同型写像と(コ)ホモロジー
4.1 群準同型写像から誘導された写像
4.2 包含写像,商写像から誘導された写像
4.3 群の拡大と群の(コ)ホモロジー
4.3.1 共役作用
4.3.2 2 次元コホモロジー群
4.3.3 反則準同型写像
4.3.4 5 項完全系列
4.4 問題
5 2次元コホモロジーの計算
5.1 2 次元コホモロジーの組み合わせ群論的解釈
5.2 有限巡回群の直積の場合
5.3 面体群の場合
5.4 PSL(2, Z) の場合
5.5 問題
6 G 準同型写像と(コ)ホモロジー
6.1 G 準同型写像から誘導された写像
6.2 群の(コ)ホモロジーの長完全系列
6.2.1 分裂完全系列
6.2.2 自由加群のテンソル積とHom
6.2.3 群のホモロジーの長完全系列
6.2.4 群のコホモロジーの長完全系列
6.3 Shapiro の同型とトランスファー写像
6.4 問題
7 カップ積
7.1 直積群の自由分解
7.2 クロス積
7.3 カップ積
7.4 問題
8 普遍係数定理
8.1 Tor とExt
8.2 (コ)チェイン複体の完全系列
8.3 Künneth の公式
8.4 普遍係数定理
8.5 問題
参考文献
索引
奥付
秋田利之 『群のコホモロジー覚え書き』 (2022127版)
はじめに
記号など
情報源
本
ネットでの情報源
Brownの読み方
歴史
定義について
分類空間
Eilenberg-MacLane空間
性質
代数的な定義
低次の(コ)ホモロジー
Hopfの定理
計算例
Schur multiplier
決定不可能性
中心拡大
普遍中心拡大
Schur cover (Schur covering group)
完全群の被覆
superperfect group
完全系列
Bockstein準同型
5項完全系列
Stallings完全系列
融合積のMayer-Vietoris完全系列
Gysin完全系列の一種
有限群の(コ)ホモロジー
計算機の利用
有限群の整数係数コホモロジー環
Fusion system
Mackey functor
TransferとGysin準同型
Gysin準同型
群論におけるtransfer
Becker-Gottlieb transfer
乗法的transfer
分岐被覆のtransfer
Character theoretic transfer
スペクトル系列
Lyndon-Hochschild-Serreスペクトル系列
Lerayスペクトル系列
Mayer-Vietoris完全系列
Eilenberg-Mooreスペクトル系列
Bocksteinスペクトル系列
Atiyah-Hirzebruchスペクトル系列
その他
ホモロジー安定性
representation stabilityとFI-module
Crossed module
線型表現の特性類
整数係数Grothendieck-Riemann-Roch定理
Adams作用素との関係
離散群の有理表現のChern類
Transferred Euler class, Chern subring, Mackey closure
Stiefel-Whitney類
モジュラー表現の特性類
コサイクルの構成
Finiteness conditions
Duality groups
群のEuler数
Hattori-Stallings rank
Growth series
Homological Sylow theorem
(Virtual) signature
Quillenの仕事
The spectrum of an equivariant cohomology ring MR0298694
Adams予想
代数的K理論に関連した結果
Extraspecial p-group
ホモロジー安定性
部分群のposet
Free resolution
Free resolutionの一意性とchain mapの構成
同変コホモロジー
同変Euler数
TateコホモロジーとFarrellコホモロジー
Tateコホモロジー
Farrellコホモロジー
相対(コ)ホモロジー
Wreath product
Stallingsの定理
Kan-Thurstonの定理
Chow ring
対称群のコホモロジー
その他の個別の群のコホモロジー
交代群
GL(n,Z)
ブレイド群
Coxeter群
Artin群
RAAG
One-relator group
冪零群
数論的群, 写像類群, 自由群の自己同型群
Knot groupとlink group
3-manifold group
Fox微分
Aspherical多様体
K(,1) arrangementの補空間
結晶群
Vanishing range
Deficiency
p-periodとYagita invariant
p-period
Yagita invariant
その他ホモトピー論に関わる話題
コンパクトLie群の分類空間
Lie groups made discrete
一般コホモロジー
Bordism
Massey product
Operad
分類空間の安定ホモトピー論
他分野との関わり
微分幾何
整数論
変換群論
Hochschildホモロジーと巡回ホモロジー
Rackとquandle
物理学
Dijkgraaf-Witten不変量
その他の話題
Shapiroの補題
Homological perturbation theory
(Discrete) Morse theory
トロピカル幾何
Groupoid, monoid, small category
Persistent homology
最後に
群コホモロジーの授業ノート(2017),野坂武史(東京工業大学理学院数学系)
目次
1 導入
2 非斉次座標での群(コ) ホモロジーの定義.
2.1 低次かつ自明係数の場合
2.2 (非斉次座標での) 群ホモロジーの定義.
2.3 カップ積.
2.4 余談:1 次コホモロジーとOut(G).
3 射影分解による群コホモロジーの定義.
3.1 自由分解による定義.
3.2 具体的な群に対する自由分解の例.
3.3 導来関手. ボクシュタイン作用素.
4 群コホモロジーのトポロジカルな解釈
4.1 復習:基本群, CW複体, 被覆空間.
4.2 胞体ホモロジーと局所系係数ホモロジーの速成的復習
4.3 K(G; 1)-空間の構成
4.4 K(G; 1)-空間の具体例
5 5完全列.
5.1 Hopf の定理
5.2 Stalling の定理
5.3 完全群上の普遍中心拡大
5.4 補足: 5完全列の誘導射と共役作用について
5.5 付録2: Ganea 写像
5.6 付録3: 射影表現の持上げと、普遍被覆群\widetilde{SL₂(?)}
6 Fox 微分とその応用
6.1 Fox 微分の定義と基本性質
6.2 多変数のFox 微分とMagnus 展開
6.3 有限表示群からのヤコビ行列。陰関数定理
6.4 群表示から短完全列表示
6.5 Lyndon 完全列の位相的解釈
6.6 Hopf の定理再考:関係子からサイクルへ
7 誘導表現とシャピロの補題とトランスファー
7.1 誘導表現のホモロジー変換とその諸性質
7.2 Eckerman-Shapiro の補題
7.3 トランスファーの定義
7.4 トランスファーの性質
7.5 有限群のコホモロジーの計算方針(向学者むけ)
8 カップ積.
8.1 クロス積とカップ積の定義
8.2 アーベル群のホモロジーと、Pontryagin 積.
8.3 有限表示群に対する小射影分解と、カップ積.
9 Wreath 積(輪積) のコホモロジー.
9.1 定理9.5 の証明
9.2 Evens のノルム写像(乗法的トランスファー)
9.3 群コホモロジー上のSteenrod 作用素.
10 冪零群と高次マッセイ積.
10.1 三重マッセイ積.
10.2 復習:高次マッセイ積.
10.3 自由群の冪零商の場合.
10.4 関係子とマッセイ積(Fenn-Sjerve の定理)
10.5 ミルナー不変量とマッセイ積
10.6 Johnson 準同型とマッセイ積
11 スベクトル系列
11.1 スペクトル系列の大まかな説明
11.2 群コホモロジーで使われるスベクトル系列
11.3 二重複体とハイパーホモロジーの概略
11.4 G-同変ホモロジー
11.5 応用例1:Evens-Venkov と、Quillen-Venkov の定理
11.6 応用例2:Evens の定理の証明
11.7 応用例3:Lefschetz 束の符号数とMayer コサイクル
12 Dickson 代数, 不変式論, 特性類との関連
12.1 お話し: ℂ上リー群と随伴表現の場合.
12.2 ?p上のDickson 代数.
13 安定性定理. (メモに近い)
13.1 証明方針1; Hatcher-Wahl[HW] に基づいて
13.2 証明方針2; 直交群の場合
14 コホモロジー作用素
14.1 コホモロジー作用素と対称群の関係
14.2 巡回群の場合. Steenrod の公理について
14.3 対称群のホモロジーに関するメモ
15 オイラー標数
15.1 複体の射影的長さ
15.2 オイラー標数
16 閉3 次元多様体の基本類
16.1 一般論
16.2 Dijkgraaf-Witten 不変量
16.3 恒等子による基本3 類の表示
17 Scissors congruence
17.1 Scissors congruence の導入
17.2 Bloch 群との関連
17.3 双曲Scissors congruence との関連
18 Chern-Simons 類, 不変形式, 拡大Bloch 群, 2 重対数
18.1 主G 束の分類空間と、単体的多様体の微分形式
18.2 Chern-Weil 理論による(1次) 特性類の考察
18.3 Chern-Simons 類の概説
18.4 Dupont による構成法
18.5 拡大Bloch 群とDilogarithm
A 高校の微積分感覚で計算出来るコホモロジーの例
B コホモロジー群・環の例
B.1 Lie 型有限群のコホモロジー群の例(工事中)
C 結び目群の群ホモロジー(専門家向き)
参考文献
A-C
C-H
H-M
M-S
S-Z
奥山哲郎, 佐々木洋城, 飛田明彦, 有限群のコホモロジー論, 数学62 (2010), no. 2, 240–266
1 はじめに
2 コホモロジー環と加群
3 べき等加群
4 フュージョンとコホモロジー
5 p-群の群環上のendotrivial 加群
6 Cohomology is representation theory
注釈
文献
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