複素数体上の代数多様体を複素多様体の言葉で研究するのが複素代数幾何学。微分積分と線形代数の予備知識だけで読み進められるように複素関数論から解説した。複素多様体、層とコホモロジー、リーマン面と代数曲線などを扱う。ただし、スキーム理論や標数pの代数多様体には触れない。名実ともに複素代数幾何学への入門書。
Author(s): 堀川 穎二
Publisher: 岩波書店
Year: 2015
Language: Japanese
Pages: 316
口上
目次
第1章 正則関数
§1.1 微分形式と積分
§1.2 向きづけ (orientation)
§1.3 Greenの定理
§1.4 Cauchyの積分公式
§1.5 巾級数
§1.6 正則関数の性質
第2章 多変数正則関数
§2.1 Cauchyの積分公式
§2.2 Weierstrassの予備定理
§2.3 Riemannの拡張定理
§2.4 陰関数の定理,逆関数の定理
§2.5 収束巾級数環
a) 局所環の定義
b) 素元分解の一意性
c) 終結式とその応用
d) 局所環のNoether性
第3章 複索多様体
§3.1 複素多様体
a) 複素多様体の定義
b) 複素射影空間
c) 部分多様体と解析的部分集合
§3.2 有理型関数
§3.3 因子と直線バンドル
§3.4 Weil因子
§3.5 直線バンドルと有理型関数
§3.6 有理型関数体の超越次数
第4章 解析的部分集合と代数的部分集合
§4.1 解析的部分集合の次元
§4.2 解析的部分集合の局所理論と既約分解
§4.3 射影空間の射影とblowing up
§4.4 Chowの定理
第5章 層とコホモロジー
§5.1 層の定義
§5.2 前層
§5.3 層の例と完全列
§5.4 コホモロジー群I
§5.5 コホモロジー群II
§5.6 De Rhamの定理
§5.7 Dolbeaultの定理
§5.8 直線バンドルに係数を持つコホモロジー
第6章 Riemann面と代数曲線
§6.1 種数(genus)の定義
§6.2 有理型関数の存在
§6.3 Riemann-Rochの定理
§6.4 Serreの双対性
§6.5 一次系(linear system)
§6.6 Riemann面の分岐被覆面
§6.7 超楕円曲線
§6.9 代数関数体
§6.10 種数公式
§6.11 解析接続と被覆面
a) 解析接続
b) 原始関数
c) 普遍被覆面
d) 代数関数
§6.12 楕円曲線
第7章 複索曲面上の曲線
§7.1 交点数
§7.2 第1Chern類 (first Chern class)
§7.3 H^{2n}(M,R)≅R の証明
§7.4 楕円曲面の特異ファイバーI
§7.5 楕円曲面の特異ファイバーII
補説
補説A. 多様体上の積分
I) 1の分解
II) 向きづけ
III) 多様体上の積分
IV) Stokesの定理
補説B. 帰納的極限
補説C. Banachの開写像定理
あとがき
[12]
[18]
[23]
[31]
ある種の道路地図のようなもの