混合特異点とは、実余次元2の完全交差実代数多様体を複素特異点の立場から研究を進める方法。そのために必要となる複素解析的特異点の理論を第I部でまとめた。2部構成。
第I部では、複素解析超曲面のMilnor束の理論を解説し、非退化Newton境界とその特異点の解消理論(トーリック爆発射)を具体的な記述で解説。
トーリック爆発射を具体的に構成する上で重要な、双対Newton図形の自然な正則単体分割の方法も解説。
その後で射影曲線の補空間の基本群の理論、Alexander多項式、Zariski対といった話題、双対曲線とその幾何学も説明。
具体的な射影曲線の構成やその幾何学は重要であるが、そのために双対曲線の方法は具体的な特異点を含む射影曲線の構成にたいへん有用。
以上の最低限の用意のもと、入門的なセミナーや修士の自習書として使用できる一冊。
Author(s): 岡 睦雄
Series: 現代数学シリーズ 20
Publisher: 丸善出版
Year: 2018
Language: Japanese
Pages: 264
まえがき
目次
第I部 複素解析的超曲面特異点
第1章 準備
1.1 代数的集合
1.2 解析的集合
1.3 集合の芽と関数の芽
1.4 Ehresmannの定理
1.5 錐と結
第2章 解析的集合の局所構造
2.1 滑層分割
2.2 コントロールされたベクトル場とThomの第1アイソトピー補題
2.3 Thomの第1アイソトピー補題
2.4 Thomの第2アイソトピー補題
2.5 特異点の局所構造,錐構造定理
2.6 曲線選択補題
第3章 Milnorファイバー束
3.1 内積,勾配ベクトル
3.2 Milnor束
3.3 第1,第2Milnor束の同値性
3.4 Morse特異点
3.5 リンクとMilnorファイバーのホモトピー型
3.6 アフィン超曲面のトポロジー
3.7 Wang完全列
3.8 Milnor数の代数的解釈
3.9 特性多項式とゼータ関数
3.10 擬斉次多項式
3.11 ジョイン定理
3.12 孤立特異点のMorse化
第4章 特異点の解消
4.1 通常爆発射
4.2 被約曲線
4.3 A’Campoの定理
第5章 Newton境界と非退化特異点
5.1 記号
5.2 非退化特異点
5.3 馴れた非退化関数
5.4 有理多面体的錐分割
5.5 単体的錐分割
5.6 正則単体的錐分割
5.7 トーリック準同型写像
5.8 正則な単体的錐分割とトーリック爆発射
5.9 Σ*の利便性
5.10 トーリック爆発射の基本定理
5.11 双対Newton図形
5.12 非退化超曲面のトーリック爆発射による特異点解消
5.13 モノドロミーのゼータ関数
5.14 正則細分の方法
5.15 特異点解消グラフ
第6章 射影超曲面と基本群
6.1 Zariski, Hamm-Le切断定理
6.2 van Kampen-Zariskiのペンシル方法
6.3 Milnorファイバーとの関係
6.4 Zariski対
6.5 退化族と基本群
6.6 Alexander多項式
6.7 Fox計算法
6.8 その他の諸結果
6.10 巡回被覆変換
第7章 双対曲線
7.1 双対曲線C⊂P^2の定義多項式
7.2 Puiseux展開
7.3 特異点のGauss像
7.4 変曲点
7.5 位相不変性
7.6 双対曲線の例と応用
7.7 Fermat曲線と最大ノーダル曲線
7.8 Gauss写像
7.9 ノーダル曲線の構成
第II部 混合特異点
第8章 混合解析関数の芽
8.1 混合特異点
8.2 Newton境界
8.3 Newton境界と非退化性
8.4 極擬斉次多項式とラディアル擬斉次多項式
8.5 強義混合擬斉次多項式
8.6 混合擬斉次多項式の大域Milnor束
8.7 ジョイン定理
8.8 単体的混合擬斉次多項式
第9章 Milnor束
9.1 非自明な座標部分空間和
9.2 管状Milnor束I (孤立特異点の場合)
9.3 球面Milnor束
9.4 Milnor束II (非孤立特異点を持つ場合)
9.5 強義混合擬斉次多項式を面関数を持つ混合関数
第10章 Thom不等式と混合射影曲線
10.1 強義混合擬斉次混合多項式
10.2 混合射影曲線
10.3 2つの射影曲線
10.4 与えられた種数と極次数を持つ射影混合曲線の構成
10.5 自明なリンク
10.6 混合特異点と正則関数特異点の比較
参考文献
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索引