―古典的な理論構成に則りつつ,現代の標準的概念を用いて解析学の基礎部分全体を再構成した,新たな定番書―
解析学は変化を調べる数学で,自然現象に潜む数学的構造を深い洞察により明らかにしたものである。自然科学において解析学が応用される場面は多く,数学を専攻する人に限らず,理工系をはじめとした応用の立場からも解析学の基礎を学ぶ意義は大きい。
本書は,微分積分学の具体的な計算(Calculus)をある程度習得した読者に向けて,解析学(Analysis)の基礎を無理なく自然な形で学べる教科書を目指して執筆された。
本書では,集合と位相,線形代数,代数系の初歩などのように,通常は微分積分学の範囲外であるため用いられない事柄についても,論理が明解になり見通しがよくなるならば積極的に導入されている。これらの概念について未習の読者のために,序章で丁寧な解説も設けられている。
本書で取り上げられる概念・用語・定理は網羅的になることを避けて精選されており,解析学の全体像を把握することができる。また,定理はその証明とともに身につけられるよう簡潔に記述され,証明は最も自然で素直なものが構成・考案されている。
さらに演習問題については,解析学の基礎的な概念を習得するための演習問題,様々な実例に触れる演習問題が多数設けられ,詳細な解答も付加されている。
初学者および解析学のユーザーの立場に立ち,わかりやすさと使いやすさを追求した教科書である。
Author(s): 原岡 喜重
Publisher: 共立出版
Year: 2021
Language: Japanese
Pages: 402
はじめに
記号表
目次
序章
0.1 ε-δ 論法
0.2 同値関係
0.3 集合と位相
0.4 代数系
0.5 線形代数
0.6 多項式
章末問題0
第1章 実数
1.1 Cauchy列
1.2 実数の構築
1.3 実数の基本性質
1.4 複素数
1.5 ℝⁿ の位相
1.6 完備距離空間
章末問題1
第2章 関数
2.1 連続関数
2.2 微分
章末問題2
第3章 積分
3.1 Riemann積分の定義
3.2 基本的性質
3.3 微分積分学の基本定理
3.4 置換積分
3.5 部分積分
3.6 広義積分
3.7 面積,曲線の長さ
3.8 線積分
3.9 Riemann-Stieltjes 積分
章末問題3
第4章 級数,ベキ級数
4.1 級数
4.2 ベキ級数
4.3 両方向級数,2重級数
4.4 無限乗積
4.5 連分数
章末問題4
第5章 関数列
5.1 一様収束
5.2 関数項級数
5.3 連分数展開
5.4 Ascoli-Arzelà の定理
章末問題5
第6章 多変数関数
6.1 連続関数
6.2 偏微分
6.3 全微分可能
6.4 高階偏導関数
6.5 超曲面
6.6 積分記号下の微分法
6.7 重積分
章末問題6
第7章 逆写像定理,陰関数定理
7.1 逆写像定理
7.2 陰関数定理
7.3 部分多様体
7.4 Lagrangeの未定乗数法
章末問題7
第8章 コンパクト性
8.1 コンパクト性の定義と ℝⁿ のコンパクト集合
8.2 連続関数とコンパクト性
章末問題8
第9章 初等関数
9.1 指数関数
9.2 対数関数
9.3 三角関数
9.4 逆三角関数
9.5 ガンマ関数
9.6 初等関数の不定積分
章末問題9
章末問題解答
序章
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
問の解答
第1章・第2章
第3章・第6章
第9章
定理一覧
序章・第1章
第2章・第3章
第4章
第5章・第6章
第7章
第8章・第9章
索引