私たちのまわりには，さまざまな対称性をもった形やパターンがあふれている。本書では，図形の対称性や周期性を記述するために，平面の合同変換からなる群について解説する。群の概念は，数学や物理のいろいろな分野で重要な役割を果たす。2つの方向の周期性をもつように，平面を埋め尽くす連続模様のパターンは17通りあることが知られていて，これは平面結晶群によって記述される。本書ではオービフォールドとよばれる幾何学的な方法で，結晶群を系統的にあつかう。
Author(s): 河野 俊丈
Series: 共立講座 数学探検 7
Publisher: 共立出版
Year: 2015
Language: Japanese
Pages: 207
はじめに
目次
第1章 図形の対称性
1.1 対称性の記述
1.2 平面の合同変換
1.2.1 合同変換の定義
1.2.2 鏡映とその合成
1.2.3 複素数平面による表示
1.2.4 行列による表示
1.2.5 平面の合同変換の分類
1.3 合同変換群
1.3.1 平面の合同変換がなす群
1.3.2 群の定義といくつかの例
1.3.3 対称群と交代群
1.4 図形の対称性を表す群
1.4.1 対称性と合同変換群
1.4.2 群の作用
1.4.3 部分群による剰余類
1.4.4 正多面体群
1.5 不連続群と基本領域
1.5.1 合同変換群の不連続な作用
1.5.2 平行移動からなる不連続群の分類
1.5.3 O(2)の離散部分群
1.5.4 基本領域
章末問題
第2章 平面結晶群
2.1 結晶群の概念の定式化
2.1.1 連続模様の対称性
2.1.2 平面結晶群の定義といくつかの性質
2.1.3 正規部分群と半直積
2.2 1次元の場合
2.2.1 1次元結晶群の分類
2.2.2 軌道全体の集合
2.3 平面結晶群の分類
2.3.1 平面結晶群の格子
2.3.2 斜交格子の対称性
2.3.3 17種類の平面結晶群のリスト
2.4 フリーズ群
2.4.1 フリーズ群の分類
2.4.2 一方向の連続模様
章末問題
第3章 結晶群と幾何構造
3.1 不連続群の軌道空間
3.1.1 トーラスの局所ユークリッド幾何構造
3.1.2 軌道空間の距離空間としての構造
3.1.3 局所ユークリッド幾何構造をもつ曲面
3.1.4 位相の概念からの準備
3.2 オービフォールド
3.2.1 O(2)の離散部分群による軌道空間
3.2.2 オービフォールドの定義
3.2.3 分岐被覆
3.3 閉曲面の分類とオイラー数
3.3.1 曲面の多角形表示
3.3.2 2次元射影空間
3.3.3 閉曲面のオイラー数
3.3.4 連結和
3.3.5 オービフォールド・オイラー数
3.4 平面結晶群の分類定理の証明
3.4.1 タイプCₙの特異点のみをもつ場合
3.4.2 タイプDₙの特異点をもつ場合
3.4.3 フリーズ群の分類定理の証明
3.5 幾何構造から見た結晶群
3.5.1 位相的オービフォールドの幾何構造
3.5.2 測地線と展開写像
章末問題
第4章 空間結晶群
4.1 3次元ユークリッド空間の合同変換群
4.1.1 ?³の合同変換
4.1.2 3次元空間の結晶群の定義
4.2 3次元局所ユークリッド多様体
4.2.1 3次元トーラスの局所ユークリッド幾何構造
4.2.2 平面結晶群の3次元空間へのリフト
4.2.3 ザイフェルトファイバー空間
4.3 空間結晶群と3次元オービフォールド
4.3.1 球面上の幾何学とシュバルツ3角形群
4.3.2 O(3)の離散部分群
4.3.3 空間結晶点群
4.3.4 3次元ユークリッド型オービフォールド
4.3.5 3次元ブラベ格子
4.3.6 球の詰め込み
4.3.7 空間を充填する多面体
章末問題
第5章 エピローグ
5.1 双曲幾何学
5.2 4次元正多胞体
5.3 非周期タイルばり
参考文献
[15]
索引
アカ
サ
タナ
ハマ
ヤラ
