微分方程式を使用する立場に立って、その高精度近似解(漸近級数)を得るための体系的方法である特異摂動法をわかりやすく解説した初めてのテキスト。
本書は3部からなるが、一般の摂動法(第1部)、漸近級数(第2部)、を基礎から解説したのち、第3部では特異摂動法の三手法である境界層理論、WKB法,複スケール解析を扱う。
全般に、近似解と厳密解を比較したグラフを掲載するなど、読者がそれぞれの近似解法の有用性を判断できるように工夫されている。
【目次】
第1部 摂動法(摂動法)
第2部 漸近級数(漸近級数/積分の漸近級数展開)
第3部 特異摂動法(境界層理論・漸近接続/WKB法/複数スケール解析/特異摂動法による海の波の解析)
付録
付表
演習問題解答
Author(s): 柴田 正和
Publisher: 森北出版
Year: 2009
Language: Japanese
Pages: 272
はじめに
目次
第1部 序
第1章 微分方程式の基本的近似解法 とその破綻
1-1 摂動法
1-2 摂動法の破綻I 永年項問題
1-3 摂動法の破綻II 構造的特異摂動問題
第1章の演習問題
第2部 漸近級数
第2章 漸近級数
2-1 漸近級数の実用的側面—関数の値を精度よく評価する
2-2 漸近関係と関数の相対的大きさに関する記号
2-3 漸近級数展開
2-4 代数方程式の特異摂動問題
第2章の演習問題
第3章 積分の漸近級数展開
3-1 部分積分法
3-2 ラプラス積分 ラブラス変換とラプラスの方法
3-3 フーリエ積分と停留位相法
3-4 複素積分 等位相法
3-5 統計学・統計物理学への応用
第3章の演習問題
第3部 特異摂動法(微分方程式の体系的近似解法)
第4章 境界層理論・漸近接続
4-1 流体の境界層と境界層理論
4-2 微分方程式の近似解法としての境界層理論一基本解法
4-3 境界層理論の数学的意味 漸近接続
4-4 内部境界層
4-5 非線形境界層問題
4-6 宇宙工学への応用
4-7 流体中の微小粒子に働く流体力(再び流体力学への応用)
第4章の演習問題
第5章 WKB法
5-1 量子力学のWKB法
5-2 WKB法の一般化 局所破綻と広域破綻 指数関数型の解
5-3 シュレディンガー型方程式
5-4 シュトゥルム-リゥヴィルの固有値問題
5-5 線形境界層問題
5-6 転回点問題 トンネル効果
5-7 非斉次線形微分方程式
第5章の演習問題
第6章 複スケール解析
6-1 永年項問題の解決
6-2 複数の時間(長さ)スケールの導入
6-3 ダフィン方程式
6-4 ファン・デル・ポール方程式
6-5 境界層問題
6-6 複スケール系列の一般化 WKB法問題
6-7 宇宙工学への応用
第6章の演習問題
第7章 特異摂動法による海の波の解析 (さらに音響工学・地震学への応用)
7-1 支配方程式
7-2 境界条件
7-3 微小振幅波(線形波)
7-4 一定水深の海面を伝わる単色進行波
7-5 うなり(振幅変調):振動数の分布をもつ波[複スケール解析]
7-6 ゆるやかに変化する海底の上を進む単色波[WKB法問題]
7-7 港湾・海岸の線形長波
7-8 細長い矩形水路で共鳴する長波:開口端補正[漸近接続]
7-9 音響工学・地震学への応用
第7章の演習問題
付録A. 特殊関数
A-1 ベッセル関数
A-2 変形ベッセル関数
A-3 ガンマ関数
A-4 放物円筒関数
A-5 エィリー関数
A-6 ヤコビの楕円関数
A-7 フレネル積分と誤差関数
付録B. 常微分方程式の厳密解を得る基本公式
B-1 1階非斉次線形微分方程式
B-2 2階斉次線形微分方程式
B-3 2階非斉次線形微分方程式
B-4 3階斉次線形微分方程式 階数降下法
B-5 自律系(非線形)微分方程式
演習問題の解答
1-1-4
1-3-1
2-2-1
3-1-2
3-3-1
3-4-1
3-4-4
4-1
4-5
5-3
6-1
6-4
6-5
7-3
7-7
参考文献
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[33]
あとがき
索引