平坦構造(フロベニウス多様体)の理論から始め,計量を仮定しない“一般化した平坦構造”の理論とその応用について解説した,待望の書籍.
・複素領域上の線形微分方程式を用いた“一般化した平坦構造”の構成について,関連する理論の基礎を説明した上で,丁寧に解説.
・複素鏡映群の軌道空間上の平坦構造の構成や,パンルヴェ方程式の解と平坦構造との対応など,代数,幾何,解析にまたがる興味深い応用を紹介.
・超平面配置の理論やパンルヴェ方程式の超越解に関する,最新の研究トピックについても触れる.
本書で紹介する応用例や様々な数学分野とのつながりから,今後の研究などに新しい視点が得られるだろう.
Author(s): 眞野智行
Publisher: 森北出版
Year: 2022
Language: Japanese
Pages: 416
はじめに
目次
第0章 理論の動機付けと本書の構成
0.1 例からの導入
0.2 本書の構成
0.3 記号や用語についての注意
第1章 ベクトル束の接続とHiggs場
1.1 ベクトル束
1.2 ベクトル束の接続
1.3 アフィン接続
1.4 Higgs場
第2章 因子に沿った対数的ベクトル場と自由因子
2.1 因子に沿った対数的ベクトル場
2.2 アフィン直線束上の因子
2.3 因子が擬斉次多項式によって定義される場合
第3章 複素鏡映群
3.1 複素鏡映群
3.2 複素鏡映群の不変式
3.3 複素鏡映群の判別式
3.4 複素鏡映群の分類
3.4.1 実鏡映群の複素化
3.4.2 群G(m,p,n)
3.4.3 Shephard群
3.4.4 well-generatedな複素鏡映群
第4章 線形微分方程式のモノドロミー保存変形
4.1 線形微分方程式
4.2 Schlesinger型方程式
4.3 線形Pfaff系
4.4 Schlesinger型方程式のモノドロミー保存変形
4.5 不確定特異点
4.5.1 漸近展開
4.5.2 微分方程式の漸近解
4.5.3 Stokes係数
4.5.4 不確定特異点を含む線形微分方程式のモノドロミー保存変形
第5章 Painlevé方程式
5.1 Painlevé方程式
5.2 Painlevé方程式とモノドロミー保存変形
5.2.1 第6 Painlevé方程式
5.2.2 第5 Painlevé方程式
5.2.3 第4 Painlevé方程式
5.2.4 第3 Painlevé方程式
5.2.5 第2 Painlevé方程式
5.3 第6 Painlevé方程式の代数解
5.3.1 第6 Painlevé方程式の代数解の分類
第6章 大久保型方程式
6.1 大久保型方程式
6.1.1 大久保型方程式とRiemann-Liouville積分
6.1.2 Schlesinger型方程式の大久保型方程式への埋め込み
6.1.3 大久保型方程式とmiddle convolution
6.1.4 大久保型方程式の解の標準基本系
6.1.5 大久保型方程式のモノドロミー表現と一般鏡映
6.1.6 大久保型方程式のモノドロミー表現に関する不変2次形式
6.2 大久保型方程式の線形Pfaff系への拡張
6.2.1 拡張大久保型方程式と齋藤束
第7章 (計量を仮定しない)平坦構造と 大久保-齋藤ポテンシャルの空間
7.1 (計量を仮定しない)平坦構造の定義と性質
7.2 Frobenius多様体
7.3 拡張大久保型方程式と平坦構造
7.4 平坦構造の大久保-齋藤ポテンシャルの空間とモノドロミー
7.5 大久保-齋藤ポテンシャルの空間からの平坦構造の構成
第8章 Frobenius多様体の概双対性
8.1 概Frobenius多様体
8.2 大久保-齋藤ポテンシャルの空間上のモノドロミー不変な双線形形式とFrobenius多様体
第9章 well-generatedな複素鏡映群に対する平坦基本不変式の集合
9.1 well-generatedな複素鏡映群の判別式
9.2 Gに対する平坦基本不変式の集合の構成
9.2.1 (M_G,D_G,Δ_G) と整合的なM_G上の平坦構造の構成
9.2.2 Gに対する標準拡張大久保型方程式の制限モノドロミー
9.2.3 Gに対する標準的平坦構造の平坦基本不変式の集合およびポテンシャルベクトル場の計算法
9.2.4 階数2の群
9.2.5 有限Coxeter群
9.2.6 Shephard群
第10章 複素鏡映群から定まる多重鏡映面配置の自由性
10.1 超平面配置と多重超平面配置
10.2 複素鏡映群の鏡映面からなる多重超平面配置
10.2.1 多重鏡映面配置の自由性の証明
10.2.2 多重鏡映面配置の自由基底の計算例
第11章 第6 Painlevé方程式の代数解とポテンシャルベクトル場
11.1 代数的ポテンシャルベクトル場からのP_{VI}の代数解の構成
11.2 三つの代数解 (H₃), (H₃)', (H₃)''
11.2.1 正20面体解 (H₃)
11.2.2 大20面体解 (H₃)'
11.2.3 大12面体解 (H₃)''
11.2.4 (H₃), (H₃)', (H₃)'' に対応する平坦構造のモノドロミー
11.3 そのほかの代数解に対応するポテンシャルベクトル場の例
11.3.1 複素鏡映群 G₂₄,G₂₇ と関係する代数解
11.3.2 自由因子F_{B₆}= 0に関係する代数解
第12章 平坦構造と一般大久保型方程式
12.1 一般大久保型方程式
12.2 一般大久保型方程式のPfaff系への拡張
12.2.1 拡張一般大久保型方程式とモノドロミー保存変形
12.2.2 拡張一般大久保型方程式と齋藤束
12.3 (半単純とは限らない)正則な平坦構造
12.4 Painlevé方程式の解とポテンシャルベクトル場
おわりに
参考文献
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索引
英数・あ・か
さ・た・な・は
ま・や・ら・わ