リー群のユニタリ表現論

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本書は、群の表現論について最短距離で核心部分に触れることを目的とした書籍である。

全体は4部構成となっている。まず第I部では、初心者に向けてリー群の表現論に関する最低限の準備を行なう。第II部では、3次元回転群やその普遍被覆群SU(2)を例に、n次回転群SO(n) (n≥3)の表現(特にその指標理論)と付随する無限次元擬(g,K)-加群について解説する。第III部では、n次Lorentz群SO(n-1,1)の表現とそれに付随する無限次元(g,K)-加群を中心に解説する。第IV部では、n次Lorentz群の既約表現と既約指標の決定に関する解説を行う。その後、拡大Gelfand-Tsetlin公式を応用してLorentz群SO0(n-1,1)およびその普遍被覆群Spin(n-1,1)のPlancherel型公式を学び、最後に負の定曲率空間上の測地流のスペクトル型がσ-Lebesguesであることを証明する。
本書の特筆すべき点として、複素回転群SO(n,C)のコンパクト実形であるn次回転群SO(n)の表現論から、別の実形n次Lorentz群SO0(n-1,1)の表現論へと、Gelfand-Tsetlin公式とその無限次元の拡張を通して”空中移行”できることを示したことである。本書の解説を通じて、それらが恰も背中合わせのように存在していることを解説する。

Author(s): 平井 武
Series: 共立講座数学の輝き 14
Publisher: 共立出版
Year: 2022

Language: Japanese
Pages: 505

序文
目次
第1章 Lie群とLie環の基礎
1.1 滑らかな多様体 (C∞多様体)
1.1.1 接ベクトルとベクトル場
1.1.2 微分,テンソル場とRiemann計量
1.1.3 微分同相写像と1径数変換群
1.1.4 微分形式,外積と外微分
1.1.5 体積要素 (volume element)
1.1.6 球面とその運動群
1.2 いくつかの行列群
1.2.1 線形群
1.2.2 単純複素古典群とは
1.2.3 単純複素古典群の実型
1.3 Lie群とそのLie環,線形Lie群と指数写像・対数写像
1.3.1 定義
1.3.2 行列変数の指数関数,対数関数
1.4 Gの1径数部分群とGのLie環
1.5 Lie環?の展開環とLie群上の微分作用素
1.5.1 Lie環?の展開環U(?)
1.5.2 随伴表現とKilling形式
1.5.3 Killing形式,Casimir元,Laplace作用素
1.5.4 U(?_C)の中心?,一般化されたLaplace作用素,無限小指標
1.6 群上の不変測度
1.6.1 Hurwitzの回転群上の不変積分
1.6.2 Maurer-Cartanの(微分)形式
1.6.3 局所コンパクト群上のHaar測度
1.6.4 準不変測度
おはなし1 (群上の不変測度の系譜)
第2章 群の表現の基礎
2.1 位相群の線形表現とは
2.2 有限次元表現について
2.2.1 線形表現の指標
2.2.2 Schurの補題と行列要素の直交性
2.3 コンパクト群の表現
2.3.1 ユニタリ化
2.3.2 行列要素の直交関係
2.3.3 Peter-Weylの定理
2.3.4 Peter-Wey}の定理の証明
2.3.5 群の表現と群環の表現
2.3.6 Plancherel型定理
2.4 誘導表現
2.4.1 有限群の場合
2.4.2 局所コンパクト群の場合
2.5 [G:H]=2の場合の誘導表現
2.6 Frobeniusの相互律
おはなし2 (群の表現論創世記)
2.7 表現空間の可微分ベクトル
2.7.1 C∞ベクトルは稠密に存在する
2.7.2 Gårding部分空間上のLie環の表現
第3章 回転群SO(n)の表現論
3.1 SO(n)の普遍被覆群Spin(n)
3.1.1 3次元回転群SO(3)の普遍被覆群SU(2)
3.1.2 四元数を用いた普遍被覆群の記述と回転のRodrigues表示
おはなし3
3.1.3 SO(n)の普遍被覆群Spin(n)
3.2 Lie環??(n), ??(n,C)の構造
3.2.1 実Lie環??(n)の構造,生成元と基本関係式
3.2.2 SO(n)のCartan部分群のLie環??(n), ??'(n)への作用
3.2.3 複素Lie環??'(n,C)≅??(n,C)のルート分解
Dynkin図形作成の規則
おはなし4
3.3 Weylの積分公式
3.3.1 Cartan部分群,Cartan部分環に働くWeyl群
ルート系から来るCartan部分環上の変換群
表3.4 単純鏡映の間の関係式
3.3.2 Weylの積分公式
3.3.3 Weylの分母D(h)の行列式表示(3.3.11)の証明
3.3.4 普遍被覆Φ:Spin(n)→SO(n)に関連する2重被覆群
3.4 既約指標の分類と決定
3.4.1 既約指標の特徴付け
3.4.2 既約指標の決定と既約表現の分類
おはなし5
3.4.3 既約表現の次元公式
おはなし6
3.4.5 指標の応用(反傾表現と外部自己同型)
3.5 SO(n)↓SO(n-1)の分岐律
3.5.1 分岐律公式
3.5.2 定理3.5.2の証明(既約指標の指標公式から)
3.5.3 分岐律からの直接の帰結
3.6 Laplace作用素とその固有値,表現の無限小指標
3.6.1 Laplace作用素の一般論
3.6.2 ?ₙ=??(n)のCasimir元
3.6.3 Laplace作用素の固有値と既約表現の無限小指標
3.7 Gelfand-Tsetlinの微分表現公式
3.7.1 Gelfand-Tsetlinの一般公式
3.7.2 次元n=2,3の場合
3.7.3 n=4の場合
3.7.4 Gelfand-Tsetlin公式の非ユニタリ型標準形への変形
3.7.5 Gelfand-Tsetlin公式(定理3.7.2)の証明の方針
3.7.6 n=4の場合のG-T公式の証明
3.8 有理関数の対称和に対する恒等式
3.8.1 有理関数の対称和に対する恒等式の提示とその証明
3.8.2 Vandermonde行列と関連する有理関数の対称和
第4章 ?=??(n), K=SO(n-1)に対する無限次元擬(?,K)-加群
4.1 G-T公式から生ずるLie環??(n)の無限次元表現
4.1.1 G-T公式のNU型標準形からの無限次元への拡張
4.1.2 定理4.1.2 (無限次元NU型??(n)-加群) の証明
4.1.3 パラメーター(α;c)を持つ標準的擬(?,K)-加群の族
4.2 無限次元擬(?,K)-加群の性質
4.2.1 U型無限次元擬(?,K)-加群
4.2.2 Gelfand-Tsetlin公式と無限小指標
4.2.3 無限次元??(n)-加群のNU型,U型の役割
4.2.4 NU型無限次元擬(?,K)-加群のもう一つの形π¹_{α;c}
第5章 n次Lorentz群の構造
5.1 n次Lorentz群とは
5.2 Lorentz群 ℒₙ := SO₀(n-1,1) の構造
5.2.1 Minkowski空間 Mⁿ の軌道分解とLorentz群 ℒₙ の分解定理
岩澤分解定理
5.2.2 Lorentz群 ℒₙ のCartan部分群
5.2.3 Lorentz群 ℒₙ の普遍被覆群
5.3 ℒₙ の第2標準形,第3標準形,Cartan部分群の対角化
5,3.1 ℒₙ の第2標準形と非コンパクトCartan部分群
5.3.2 第3標準形(n奇)とコンパクトCartan部分群
5.3.3 Weyl群およびLaplace作用素の動径部分
第6章 n次Lorentz群の基本的表現
6.1 ℒₙ の有界線形表現の構成と擬不変測度
6.1.1 部分群の表現からの誘導表現
6.1.2 等質空間上の擬不変測度
6.2 ℒₙ のユニタリ主系列表現
6.2.1 主系列表現のN_-モデル
6.2.2 主系列表現のK-モデル(K-実現)
6.2.3 同値対応の具体形
6.2.4 Fourier変換に関する基本
6.2.5 ユニタリ主系列表現の既約性と可約性
おはなし7
Errata to [Hir2] written in [Hir6]
6.3 主系列表現に対応する(?,K)-加群
6.3.1 (?,K)-加群とは
6.3.2 主系列表現の(?,K)-加群
6.4 共役表現とHermite不変内積
6.5 \tilde{ℒₙ} のユニタリ補系列表現
6.5.1 Fourier変換による計算
6.5.2 積分核で定義される不変内積
6.6 離散系列の既約ユニタリ表現の存在・不存在(一般論)
6.7 有限次元既約表現の主系列表現への埋め込みと無限小指標
6.8 非ユニタリ主系列表現の超重要な役割(部分商定理)
第7章 3次元,4次元Lorentz群の場合
7.1 2重被覆群SL(2,R)の場合
7.1.1 主系列表現
7.1.2 補系列表現
7.1.3 有限次元既約表現の埋め込み
7.1.4 SL(2,R) の第2の実現 SU(1,1)
7.1.5 離散系列実現
7.1.6 有限次元既約表現の別の実現
7.2 SU(1,1)の(非ユニタリ)主系列表現の(?,K)-加群
7.2.1 L²(K',dk'), K'=極大コンパクト部分群,の上での実現
7.2.2 非ユニタリ主系列表現の(?',K')-加群の計算
7.2.3 抽象的無限次元表現としての(?',K')-加群の決定
7.2.4 主系列表現の(?',K')-加群の構造
7.2.5 不変なHermite内積を持つ(g',K')-加群
7.3 4次元Lorentz群の普遍被覆群SL(2,C)の場合
7.3.1 主系列表現
7.3.2 補系列表現
7.3.3 有限次元既約表現
7.4 (?,K)-加群と \tilde{ℒ₄} の双対空間
7.4.1 標準NU型無限次元(?,K)-加群
7.4.2 標準NU型(?,K)-加群の構造と相互関係
7.4.3 不変Hermite型内積,補系列ユニタリ表現,ユニタリ化可能表現
7.4.4 標準NU型(?,K)-加群のパラメーター空間の対称性
第8章 一般Lorentz群の標準(?,K)-加群
8.1 基本的事実のまとめ
8.2 代数的に定義される標準的(?,K)-加群
8.2.1 複素化 ?_C= ??(n,C) の各実形の表現論の相互関連
8.2.2 回転群の擬 (?_u,K)-加群からLorentz群の(?,K)-加群ヘ
8.2.3 ?=??(n-1,1) のNU型標準(?,K)-加群 S⁰_{α;c},S¹_{α;c}
8.2.4 ?=??(n-1,1) の標準U型(?,K)-加群 Sᵘ_{α;c}
8.2.5 ?のNU型とU型の標準表現に対する無限小指標
8.3 ?のNU型標準表現Sᵏ_{α;c}の反傾表現,共役表現,可約点
8.4 標準NU型表現S⁰_{α;c}の不変Hermite内積について
8.5 主系列表現・補系列表現の無限小解析
8.5.1 ユニタリ主系列表現の可約点
8.5.2 補系列表現の無限小解析による決定
8.6 U 型標準?表現Sᵘ_{α;c}による既約(?,K)-加群の決定
8.7 ユニタリ化可能既約(?,K)-加群の分類
8.8 無限次元NU型標準(?,K)-加群の構造と相関関係
8.8.1 無限次元NU型標準(?,K)-加群S⁰_{α;c}の2階建て構造
8.8.2 NU型標準(?,K)-加群S⁰_{α;c}のパラメーター空間の対称性
8.9 無限次元NU型標準(?,K)-加群S¹_{α;c}, k=1の構造と相関関係
8.9.1 Sᵏ_{α;c} (k=0,1) の相互関係,既約(?,K)-加群のY-パラメーター
8.9.2 NU型標準加群S¹_{α;c}の構造とK-スベクトル (n=2r+2)
8.9.3 NU型標準加群S¹_{α;c}の構造とK-スベクトル (n=2r+3)
おはなし8
第9章 指標の理論と計算(その1)
9.1 指標の一般論
9.1.1 群の線形表現の指標
9.1.2 線形作用素のトレース
9.1.3 連続核を持つ積分作用素
9.2 半単純Lie群の表現の指標
9.2.1 半単純Lie群の指標の一般論
9.2.2 Cartan部分群,Weyl群をめぐる積分公式
9.3 不変固有超関数と不変積分K^?_φ
9.4 半単純Lie群の(非ユニタリ)主系列表現の指標
9.5 Lorentz群の非ユニタリ主系列表現の指標と無限小指標
9.5.1 場合1) n = 2r+2 (偶)
9.5.2 場合2) n = 2r+3 (奇)
9.6 有限次元既約表現とその指標・無限小指標
9.6.1 場合1) n = 2r+2 (偶)
9.6.2 場合2) n = 2r+3 (奇)
第10章 一般Lorentz群 \tilde{ℒₙ} の既約表現
10.1 標準的NU型(?,K)-加群と非ユニタリ主系列表現
10.1.1 (?,K)-加群 δΠ'_{α;c} = (dΠ'_{α;c}, Ind^K_M π_α)
10.1.2 一般主系列表現 Π'_{α;c} (c∈C) とユニタリ主系列表現 Π'_{α;iρ} (ρ∈R)
10.2 ?の無限次元行列表現S⁸_{α;c} ≅ dΠ'_{α;c} と Sᵏ_{α;c} の一致・不一致
10.3 有限次元既約表現の主系列表現 Π'_{α;c} への埋め込み
10.3.1 ?=??(n-1,1) のNU型有限次元既約表現
10.3.2 最高ウェイトβの有限次元既約表現の埋め込み先
10.3.3 無限小指標
10.4 ?ₙ=??(n), ?ₙ=??(n-1,1) の各種表現の相互関係
10.5 一般Lorentz群の既約表現の分類と主系列表現の構造
10.6 緩増加既約表現について
第11章 指標の理論と計算(その2)
11.1 n = 2r+2 における既約指標の計算
11.2 n = 2r+3.非コンパクトCartan部分群上の指標値
11.3 コンパクトCartan部分群上の指標値とK-スベクトル
11.4 Lorentz群 \tilde{ℒₙ} のコンパクトCartan部分群上の指標
11.4.1 不変積分 K^?₁_φ(h) のFourier係数
11.4.2 G = ℒₙ, n = 2r+3 の主系列表現Π'_{α;c} の場合
11.4.3 G = \tilde{ℒₙ} の既約表現の指標,コンパクトCartan部分群上の計算
11.4.4 コンパクトCartan部分群 H^?₁ 上で κ^?₁(D^±-Y₁) を分離する
11.4.5 孤立した可約点における既約指標
おはなし9
第12章 既約表現の分類と指標公式の応用
12.1 Plancherel型定理の一般的展望とLorentz群
12.1.1 有限群・コンパクト群のPlancherel型定理
12.1.2 可換群R^N上のFourier変換,そしてPontryaginの双対定理
12.1.3 冪零Lie群,可解Lie群の場合
12.1.4 局所コンパクト群に対する辰馬の双対定理
12.2 Lorentz群のPlancherel型定理
12.2.1 n = 2r+2 (r≥1) の場合
12.2.2 n = 2r+3 (r≥1) の場合
第13章 既約ユニタリ表現のU型 Gelfand-Tsetlin公式の応用
13.1 負定曲率多様体?上の測地流
13.1.1 力学系から来た測地流の群論的記述
13.1.2 完備な負定曲率空間の普遍被覆
13.1.3 離散部分群による商空間と測地流
13.2 完備な負定曲率多様体上の測地流のスベクトル
13.2.1 G = SO₀(n-1,1) の既約ユニタリ表現でMで類1のもの
13.2.2 1径数作用素T^π(t) = π(a(t))IP^π_M V(π) の生成作用素
13.2.3 測地流のスベクトルの σ-Lebesgue 性の基本的命題
13.2.4 負定曲率多様体上の測地流のスベクトルは σ-Lebesgue
おはなし10
付録 誇大妄想といくつかの予想
A.1 誇大妄想2021aといくつかの予想
A.1.1 有限次元既約表現を巡っての強力なサポート
A.1.2 「例えば」の話と予想2つ
A.1.3 K-重複度>1を克服できる予感
A.2 BDI以外の型に関する誇大妄想といくつかの予想
A.2.1 指標と不変固有超関数の理論
A.2.2 AIII型SU(p,q)の固有超関数に対する手法
A.2.3 K-重複度の克服
関連図書
EFG
H
Hir3
平12
JK
LMNOPR
S
TWY
解説 堀田良之
索引
記号・数字
英字
アカ
サタナ
ハマヤラワ