第1巻 明治五年、天皇の身辺を警護する御親兵は「近衛兵」と名を改め、陸軍大将西郷隆盛がその都督となる―帝国陸軍は、創設以来、国民の信頼の中で成長し、国の強弱の尺度となり、また、国の発展の礎となって明治・揺籃期を駆けぬけた。列強重囲の中で、清国とロシアを相手に戦捷を果たした陸軍の指導統帥を描く。
第2巻 傑出した明治軍閥の亡き後、帝国陸軍はその反動の波に激しく洗われた。軍縮の時をへて昭和軍閥は台頭し、政党政治に根底から揺さぶりをかける。中国革命の余波をうける満州の日本権益を守るため陸軍は、ついに国策の正面に躍り出た。内外の不信をよそに、軍備拡張と政治進出に賭けた統制なき陸軍の実像を描く。
第3巻 十九万人が戦死、九十五万人が傷つき病み、七十五万人が中国の戦野に呻吟する昭和十六年、陸軍は新たに米英を敵とする大戦争に国運を賭けようとした。日中戦争の収拾、日独軍事同盟、南部仏印進駐を軸に、陸軍中堅の専横と日米外交に専念する東條首相の苦悩を綴り、陸軍が政治を支配した動乱昭和の落日を描く。
伊藤 正徳
明治22年、茨城県水戸市に生まれる。大正2年、慶応大学理財科を卒業。時事新報社に入社する。昭和3年、編集局長となる。その後、中部日本新聞主筆、共同通信社理事長、日本新聞協会理事長、時事新報社社長、産経時事主幹、産経新聞顧問等を歴任する。第一級の海軍記者として活躍。昭和37年4月21日歿
戦後まもなく書かれた,第1級の記者の手になる日本近代史。実体験と関係者への聞き取り調査に基づくドキュメンタリーとして,時代を超えた価値を持つ最高峰の資料。
この本に接することで,日本近代の政治史を一通りマスターすることができます。さらに,このウェブサイト上に上がっている『皇室事典』・『徳川歴代将軍事典』・『日本陸海軍総合事典』・『最新 右翼辞典』・『日本知事人名事典』をダウンロードすることで,ますます奥深い日本史へと分け入っていくことができます。学生の方であれば,日本史のテストは余裕で満点を取れるようになるでしょう。社会人以上の方であれば,悠久の時の流れに思いを馳せる,大いなる日本史の伴侶となることでしょう。
ところで,この5辞典,単に機械的に上がったものではありません。日本を想う志の篤い方が,なんと1ページ1ページ,手でコピーされたものです!非常に大変な作業であったと思われます。その汗と努力の賜物である辞典を簡単にゲットできるのは,非常にありがたいことであると言わざるを得ません。
多大な労力をかけてアップロードして下さった,匿名のその方に大感謝。そして,日本に生まれ,歓声の雄叫びを上げ,敗残の涙を流し,無惨な血を流し,苦境の中を耐え忍び,悲喜こもごもが入り混じった,先人の大いなる歴史パノラマに敬礼し,この書物を捧げます。
Author(s): 伊藤正德
Year: 1957
Language: Japanese
Pages: 1167
軍閥興亡史 I -明治建軍~日清・日露戦争(昭和32年)伊藤正徳
序
第一章 明治建軍
一 "軍服の誇り" 何處に行く
二 本分を守れば―
三 颱風中の薩英開戦
四 戰利品、に英艦の錨
五 十八艦が下關砲撃
六 國策第一號は「常備軍」
七 危うかりし弱小日本
八 西郷、首相を辭退す
九 命懸け、先覺の勇斷
十 「徴兵」と國家の獨立
十一 「士族徴兵論」で抗爭
十二 千鈞の一諾
十三 各地に徴兵反對の騒動
十四 「卒」を毆る士族士官
第二章 日韓及び日淸談判
一 西郷「平和使」を買う
二 沿海に示威した八軍艦
三 日本公使館燒打ちさる
四 日本の密使力説す
五 軟弱外交を支持した軍閥
六 將星連が政治上奏
七 内亂用を "大陸" 向へ
八 軍備優先の新日本
九 異彩 "メッケル指揮"
十 渡洋作戦の夢描く
十一 強露の壓力を排す
十二 日淸戦争の策源地
十三 "剃刀大臣"の積極策
十四 一戰に導く硬外交
第三章 成歡と平壌の戰鬪
一 初の外戰に難行軍
二 外地の初陣に大勝
三 重大な緒戰の一勝
四 二日間で攻略期す
五 正面戰で日軍"背進"
六 驚嘆の「玄武門破り」
七 目を疑う敵の白旗
八 弱將自ら朝鮮放棄
九 「先制」と「専守」の差
十 日淸戰役と太平洋戰爭
十一 "自決して名誉を守れ"
十二 一夜で空城と化す
十三 一日で旅順口陥落
第四章 日淸戰爭の勝利
一 危險を孕む長驅戰
二 虚を衝き半日で攻略
三 海城攻防は "關ヶ原"
四 戰略指導に政治家
五 大本營の軍議一決
六 敵は結氷期に反攻
七 敵の "十萬動員" 流産
八 大本營 "出撃" へ轉向
九 徹宵最初の市街戰
十 日淸役終結の "聖火"
十一 淸軍と世紀的相違
十二 造砲に陸軍の三大發明
十三 「村田銃」とその先祖
第五章 戰勝の後に三國干渉
一 完勝の裏に黒い影
二 軍、快く政府に譲る
三 戰時外交のお手並
四 「三國干渉」の大痛棒
五 根源深き露國の外交
六 外相に「還付」の妙手
七 二度目の臺灣遠征
第六章 聖戰、日露戰爭
一 ロシア旅順口を奪う
二 北淸事變と日本陸軍
三 日英同盟の成立
四 大山總長が意見書
五 朝鮮派兵で大激論
六 大山發言、萬事決す
七 勝利の公算は乏し
八、口火は露艦隊の出港
九 元老、銃を執る決意
第七章 大山、兒玉、黑木
一 參謀次長兒玉の作戰
二 軍閥が日本を救う
三 第一戰場へ大競走
四 會心の鴨緑江渡河戰
五 獨断 "天佑“ をつかむ
六 またも越權の軍功
七 敵情軽視に大苦杯
八 "大器“ 大山を起用する裏面
九 陸海兩雄の大局眼
第八章 遼陽戰と弓張嶺夜襲
一 會戰生起の事情
二 暴擧か否か、大夜襲
三 「夜襲師團」が受持つ
四 一剣磨く東北健兒
五 夜襲戰に革命の勝利
六 世界記録は日本に
第九章 日本の譽れ・太子河作戰
一 運命の大會戰迫る
二 首山堡の橘大隊長
三 戰局、黒木の双肩に
四 夜河を渡って集結
五 宿敵・黒木への大反撃
六 彼我同一作戰の激突
七 マラソン、救援軍走る
八 奇略「岡崎山」の戰功
九 國史も逸す大作戰
十 範は正しく「太子河」
十一 我が生涯の大勉強
第十章 旅順要塞の死鬪
一 ”一日攻略‘で號外の用意
二 共に眠る日露將兵
三 山頂に兩軍悉く倒る
四 猶豫できぬ海戰略
五 大山、乃木の更迭を拒む
六 初めは二〇三を避けて
七 二兒を投じて不退轉
八 死鬪七晝夜で祝杯
九 耀く武士道の秘話
十 死鬪を描く従軍日記
十一 "旅順を見ろ" と戰友の屍を抱く
第十一章 沙河及び奉天會戰
一 "空腹の日軍" 撃たん
二 日露戰、最大の悩み
三 野戰で中央突破ヘ
四 "沙河の對陣" を展開
五 大局にらむ總司令
六 大前哨戰としての黒溝臺戰
七 期せずして大會戰
八 敵を脅かす鴨緑江軍
九 六晝夜勝敗決せず
十 敵將、神經戰に敗る
十一 總追撃にも弾不足
第十二章 軍閥國に盡す
一 大軍師終戰を想う
二 軍閥的内閣の見識
三 日本海海戦講和を導く
四 譲れぬ償金と割地
五 終戰、統制を亂さず
軍閥興亡史 II -増師政変~二・二六事件、盧溝橋事件(昭和33年)伊藤正徳
序
第一章 「明治軍閥」は去る
一 「不敗の地位」に安心
二 影と形の二大強國
三 軍部と政黨の宿命的抗爭
四 露國の再來に備える
五 "朝鮮二個師" の線へ
第二章 忽ち起る増師政變
一 軍は露國の復讐に備う
二 三方面で對日攻勢
三 國民に匿す機密過多
四 陸相、増師案に直進
五 ”前約" 讓らぬ大御所
六 單獨、辭職を上奏す
第三章 軍部大臣武官制の爭い
一 隈・板内閣でも苦杯
二 軍部と政黨の激突
三 山縣が断行した革新
四 軍部外の大臣を許さず
五 「護憲」の火の手揚がる
六 組閣の出鼻を挫く
七 難題の「現役」を削る
八 陸軍に追われた陸相
九 海軍も組閣を潰した
十 膝を屈した原首相
十一 政黨内閣が軍擴へ
第四章 シベリア出兵
一 初めは出兵を斷る
二 第一期作戰の光輝
三 見失った本來の敵
四 尼港の惨劇を招く
五 海將内閣が終止符
第五章 宇垣軍縮の波紋
一 「武官専任制」の一角崩る
二 文官總督の初登場
三 大山・兒玉の苦心なお活く
四 日本陸軍三流に落つ
五 機械化を待たずに軍縮
六 日本の運命に轉機
七 勇斷、四個師を切る
八 軍事教練の構想
九 「士官」軍縮は命取り
第六章 「大正軍閥」の流産
一 軍國主義を否定す
二 世界の政治家・加藤
三 海軍に讓る進歩性
四 「幣原外交」獨り往く
五 東方會議で積極策
六 選擧對策の山東出兵
七 張作霖爆殺の暴擧
八 大元帥にウソの上奏
九 宇垣が "第二軍縮" へ
十 「三月事件」への胎動
十一 不祥事、寸前に回避
十二 葬られた「大正軍閥」
第七章 滿洲事變
一 武力解決の機を狙う
二 大陸を望む "桃太郎"
三 柳條溝の線路を爆破す
四 作戰、日増しに擴大
五 「越境將軍」の英雄化
六 怪物 "滿洲" の複雜さ
七 錦州と北滿を制壓
八 上海の兵火を卽滅す
九 「滿洲國獨立」を強行
十 連盟脱退で孤立化
十一 問題は事變の始末
十二 ソ連の介入を恐る
十三 石原中佐の獨斷
十四 "建川勧告" に先回り
十五 「關東軍獨立」の流言
第八章 「昭和軍閥」の形成
一 五・一五事件の表裏
二 「十月クーデター」計畫
三 主謀者を「優遇」
四 海軍も明斷を缺く
五 皇道派の誕生
六 二連敗の上原人事
七 「政黨否認」へと傾く
八 疑惑招く陸相訓示
九 「民主陸相」も持て餘す
十 皇道派に對する統制派
十一 永田・東條のコンビ
十二 「國家總動員」の卵巣
十三 踏み違えた革新の道
十四 眞崎に「勇退」を勧告
十五 閑院宮も皇道派に不滿
十六 不發の十一月事件
十七 誤れる昭和の「粛軍」
十八 永田へ白晝の兇刃
十九 「一師」は皇道派の巣
二十 當事者のみが知る "濡れ衣"
二十一 海外で生れた反長閥派
二十二 「永田がいたら」の聲
第九章 二・二六事件
一 「二・二六」の大流血
二 國民總抗議のハケ口
三 反徒甘やかす告示
四 原隊復歸の勅命下る
五 政爭の具に「統帥權」
六 革新徒黨の「虎の巻」
七 「革命の教祖」の暗躍
八 三たび黙認の微笑
九 「眞崎大將を罰せよ」
第十章 軍閥配下の廣田内閣
一 岐路に立つ寺内陸相
二 廣田組閣への大干渉
三 廣田は軍要求に屈す
四 軍の部内政略としての強腰
五 極刑に値する失政?
六 廣田と寺内の密約
七 總力戦へ軍の要請
八 立法・行政府の分離
九 齋藤演説で猛反撃
十 「非常時」の暗い壓力
十一 軍部と最後の一戰
十二 廣田内閣も自爆す
第十一章 宇垣内閣を阻止
一 最後の切札は「宇垣」
二 大勢を制した石原の辮
三 奥の手は陸相を出さぬ事
四 萬策盡き組閣斷念
五 時局正常化の機會去る
六 林内閣、大敗を招く
第十二章 近衛文麿の登場
一 軍は滿洲から北支ヘ
二 華北俄かに不穏
三 好轉せぬ北支の政情
四 押出した土肥原工作
五 「關東軍恐るるに足らず」
六 ソ連と中國を敵に
七 北支自治を國策化
八 統制を缺いた軍閥
軍閥興亡史 III -日華事変~日米開戦 (響林社文庫)_
序
第一章 亡國戰爭の發端
一 蘆溝橋事件の眞相
二 脈打つ侵略警戒の心
三 最初は威壓で足ると信じた
四 「不擴大」を熱説した石原部長
五 近衞南京に飛ばんとす
六 日本軍を不意討ち
七 反日に油注ぐ蒋聲明
八 急轉、戰火上海に飛ぶ
九 解決へ惜しい逸機
第二章 長期戰の泥沼
一 短期決戰つまずく
二 "ドイツの調停" 望みあり
三 内相は停戰條件に異議あり
四 變節甚だし「事變對處」
五 參本の主張つぶる
六 北京に揚る五色旗
八 「國民政府を相手とせず」
九 大衆を惹く "近衛人氣"
十 ”攻勢防禦" の泥沼へ
第三章 臺兒荘から徐州へ
一 大敗?大勝?臺兒荘
二 一城放棄の大反響
三 蒋直系軍を突き止む
四 徐州大會戰
五 蒋介石ラインに迫る
六 撃滅戰を狙って進む
七 魚群、網目をくぐる
第四章 宇垣の和平工作崩さる
一 「相手にせず」を改訂す
二 張群、宇垣外相を誘う
三 「滿洲國」難題でなし
四 「相手とする」新方針
五 長崎會談に水を差す
六 交渉の行手に「興亜院」
七 孤剣折れて宇垣退く
八 兩政府、最後の機會を失う
第五章 漢ロ作戰
一 漢ロ作戰は既定の方針
二 出先の獨斷専行つまずく
三 揚子江遡航作戰の成功
四 悪路險山に體當り
五 大別山方面の第二軍
六 漢ロの陥落
七 バイアス灣へ奇襲上陸
八 修水渡河戰と南昌攻略
第六章 ノモンハン及び南寧作戰
一 張鼓峰の "威力偵察"
二 ノモンハンの火遊び
三 獨斷、越境の爆撃行
四 火遊び、好運に収拾さる
五 引續いて起った南寧作戰
六 奪還に蒋の主力
七 一種の囮作戰
八 南寧作戰の終末
第七章 江兆銘工作前後
一 武力解決は見込みなし
二 第三國の和平調停も見込みなし
三 汪兆銘工作始まる
四 汪兆銘重慶を脱出す
五 「近衛三原則」で聲援
六 最後に選ぶ「新政權」
第八章 日獨同盟の速成
一 陸軍の提案經緯
二 平沼去り、阿部亦倒る
三 支那大陸からの自主的撤兵案
四 バスに乗り遲れるな
五 近衞文麿の再登場
六 近衞は「新體制」に没頭
七 松岡突如日獨同盟案を提出
八 三國同盟調印さる
九 軍事的価値も疑問
第九章 北部佛印進駐
一 南方の狙いは「石油」
二 援蒋ルート斷絶ヘ
三 進駐で軍部割れる
四 "破約日本" への痛言
五 "大事を誤り" 軍の引責
六 サーベル外交推進
七 軍が自ら南進を限定
第十章 日米交渉開始さる
一 民間人の橋渡し
二 日米諒解案の骨子
三 陸軍は進んで受諾す
四 千載の悔は松岡の冷淡
五 松岡修正案漸く成る
六 外相更迭を御示唆
七 米は獨ソ開戰を豫見
八 ハル長官の松岡攻撃
九 松岡を追出す總辭職
第十一章 噫々南部佛印進駐
一 日米戰爭の最大原因
二 甘い對米見通し
三 "英雄" は北進に轉向
四 破局を招く進駐の斷行
五 資産凍結と禁油令
六 海軍、禁油に沸立つ
七 三面作戰への布石
八 戰時最大の火遊び
第十二章 近衞の熱誠通ぜず
一 近衞渡米を決意す
二 米大統領も乗り氣
三 日米首脳會談の随員決定
四 豫備交渉中の難問題
五 對米戰の決意表明
六 岩畔は歸朝後忽ち追放さる
七 陛下、杉山を御問責
八 汝知るや大帝の御歌
九 遅過ぎた近衞の奮起
十 東條の撤兵反對
十一 白熱する五相會議
十二 沈黙を破り近衞熱辮
十三 "東條演説" に閣僚黙す
十四 手ぬるき常識海軍
第十三章 東條和平に轉ず
一 内外驚く東條の組閣
二 陸軍の觀聲に東條耳を掩う
三 「駐兵不讓歩」變らず
四 外交終止日を明示
五 東郷と賀屋の立場
六 第二次御前會議
七 来栖ワシントンに飛ぶ
八 難航洋上に睛れの一瞬
第十四章 遂に破局
一 時しも討米大演説
二 國務長官 "手を洗う"
三 潔癖過ぎた米外交
四 「開戰は早計」と上奏
五 海相に缺けた "眞勇"
六 無實の討米演説
七 親電と奇襲と行違う
八 誰が戰爭の火附役か
九 "船腹" 喪失に大誤算
十 失敗に終った事前通告
十一 「實力者」針路を誤る